「カサンドラ症候群」という症状を聞いたことはありますか?
あまり聞きなれない症状のため、なかなか理解されずひとりで思い悩んでいる人もいるのではないでしょうか?
今回は、カサンドラ症候群の症状の特徴や原因、なりやすい人の特徴、また対処法などについてお話しします。
身近(パートナーや家族)にアスペルガー症候群の人がおり、何かしらの心身の不調を感じている人は、ぜひ参考にしてください。
カサンドラ症候群とは?どんな症状?
カサンドラ症候群とは、パートナーなど身近にいる人がアスペルガー症候群であることが原因で、適切な意思疎通を構築することが難しく、精神的にも肉体的にも症状が起きている状態のことを意味します。
とはいえ、カサンドラ症候群は、いわゆる精神疾患の疾患名ではありません。
対人関係により心身ともに症状が生じている状態を示す言葉となります。
カサンドラ症候群は他にも「カサンドラ情動剥奪障害」「カサンドラ状態」などと表現されることもあります。
アスペルガー症候群や、ADHDについて気になる人は以下の記事を参考にしてください。
もしかして…うちの夫はADHD?旦那のADHDチェックと夫婦幸せに暮らすコツ【医師監修】
カサンドラ症候群の具体例
妻が、家事に育児に大忙しの中、夫はテレビを見てゲラゲラ笑っている。
そんな手一杯の状態でも「ご飯まだ?」など平気というような状態
このような状態を周りに話しても、「まぁまぁ」など流されてしまい、どんどん周りにも理解されず精神的に追い込まれ苦しくなってしまうような状況を言います。
どのような症状?カサンドラ症候群の特徴について
カサンドラ症候群には以下のような症状が出るといわれています。
症状・特徴 | |
---|---|
カサンドラ症候群 | 情緒的交流の乏しさを起因とした激しい対立関係 精神または身体の虐待 人間関係の満足感の低下がある精神的もしくは身体的な不調 自己評価の低下 抑うつ状態 罪悪感 不安障害 不眠症 心的外傷後ストレス障害(PTSD) 体重の増減 |
カサンドラ症候群の命名者シャピラの定義では、さらに「その事実を他の人に伝えても理解してもらえない、信じてもらえないこと」が加わります。
カサンドラ症候群で苦しむネット上の声
身近にアスペルガー症候群の人がおり、不安や抑うつなどの心身の不調がある場合は、カサンドラ症候群を疑ってもいいかもしれません。
しかし、どのような症状があり、どのように対処すればいいのかも知られていないため、ネット上でも不安に思う声が投稿されています。
カサンドラ症候群でしょうか?
旦那さんがDV モラハラが普通に日々あり、私の身体が参っています。
私は言い返すなどはしません。 それをしてしまうと、ずーっと話され、なぐられ、が続いてしまうので、言わないのが一番だと思っています。
私の身体の変化として、 夜1時間おきに起きてしまう。
朝はすごく目が覚めるのが早い。
独り言を言うつもりもなく出てしまうことがある。
旦那の話を聞かないようにはしているが、お腹や心の中からイラつく気持ちがわきでてくる。心療内科に行った方がいいか悩んでいます。 宜しくお願い致します。
OKWEB
カサンドラ症候群とは?どんな特徴があるのでしょうか? どう対処したらいいか教えてください。
カサンドラ症候群とは?どんな特徴があるのでしょうか?
教えて!goo
どう対処したらいいか教えてください。
カサンドラ症候群の原因とは?
そもそもカサンドラ症候群にどのような原因でなってしまうのでしょうか?
カサンドラ症候群の原因やきっかけとは?
アスペルガー症候群はコミュニケーション能力に問題があります。
一見すると普通に会話ができていても、本人は会話の意図が読み取れていなかったり、相手に失礼なことを言ってしまったりする傾向があります。
意思疎通がうまくできない会話を、常に受け止めているパートナーがストレスを感じ、カサンドラ症候群の発生につながる可能性があると考えられています。
また、なかなか他人には理解してもらえないことで、ひとりで悩みを抱え込んでしまい孤独感を感じている人も多いようです。
家庭内だけとは限らない!カサンドラ症候群が起こる可能性がある関係性とは?
カサンドラ症候群は、パートナーとの関係性など家庭内のことがきっかけで多く見受けられる症状です。
しかし、家庭以外でも発生する可能性はあります。
以下のような関係性は、日常的に密にコミュニケーションをとることが多いため、発症の可能性が高いです。
- 職場の上司と部下
- 先生と生徒
- 日常的に一緒にいる友人
特に、職場の上司と部下の関係では注意が必要です。
「パワーハラスメント」「モラルハラスメント」と称される言動などにより、カサンドラ症候群の状態が発生した事例も報告されています。
カサンドラ症候群になりやすい人の特徴とは
パートナーから理不尽なことをされても、忍耐強く受け入れたり過度に我慢してしまったりしていませんか?
このように偏った関係性を継続することで、気がつかないうちにカサンドラ症候群へと進行してしまうことがあります。
自分がカサンドラ症候群になりやすい人の傾向に該当するのかも確認してみましょう。
- 責任感の強い人
- 真面目な人
- 我慢強い人
- 几帳面な人
- ストレス発散が苦手な人
- 自分を責めてしまう性格の人
- 面倒見が良い人
- 人に物事を言えない人
- カサンドラ症候群は男性より女性の方がなりやすい?
-
アスペルガー症候群の発生割合は男性の方が多いため、必然的にパートナーとなる女性側にカサンドラ症候群の発生割合が高くなる傾向があります。
ただし、必ずしも女性だけがカサンドラ症候群になるわけではなく、男性が発生する例もあります。
カサンドラ症候群は治療できる?有効な5つの対処法について
カサンドラ症候群は、現状発生している抑うつや不安障害において、認知行動療法や薬物療法などによる治療が可能となります。
しかし、それらはあくまで対症療法であり根本的な解決にはなりませんので注意が必要です。
アスペルガー症候群のあるパートナーとの関係改善がもっとも重要になります。
カサンドラ症候群のある人は、夫婦だけで悩まず、パートナー以外に相談できる人を探すことが大切です。
対処法その①:アスペルガー症候群の特性や対応方法について理解する
アスペルガー症候群の特性についてネットや書籍などで調べてみることをおすすめします。
ただし、アスペルガー症候群の特性について学んだからといって、そのままパートナーに押し付けてしまうと反感を招く可能性があります。あくまでアスペルガー症候群に共通する特性であり、人間の特性は十人十色です。
まずは、パートナーの特性を十分に理解し、パートナーに合わせた対処法を取るように心がけましょう。
また、パートナーがアスペルガー症候群だと思っていたことが、実は違っていることもあります。
もしかして…うちの夫はADHD?旦那のADHDチェックと夫婦幸せに暮らすコツ【医師監修】こちらの記事に、診断チェックシートや対策を含めて全て解説しています。
対処法その②:行動の理由を理解し、日常生活のルールを決める
パートナーの行動を理解するためには、「なぜそのような行動をとったのか」お互いに行動の理由を教え合うとよいでしょう。
ネット上でも、発達障害を持つ人が発達の苦しみや悩みを投稿しています。
アスペルガー症候群などの発達障害を持つ人の気持ちを理解することは、とても大切なことです。
アスペルガー症候群をもつ人の声
以前、カサンドラ症候群について、知りました。
カサンドラ症候群は、発達障害者のパートナーに多く発症する病気だそうですが、 近年では、家族や職場の人でも同様のことが発症すると言われています。
私自身は、発達障害当事者ではありますが、 カサンドラなんて、発達障害に無理解な人が掛かる病気であって、 発達の苦しみを理解せず、
ネット上で「発達ウザイ」「アスペ死ね」などと書いている様な人こそ、
病気になって当然、自業自得だとすら思ってます。
それで誹謗中傷になるのであれば、自分達発達障害は、一体どうしろと言うのですか?
カサンドラ症候群は、そんな発達障害に無理解な人に対する罰の様なものだとすら思っていますが、皆さんはどう思いますか?
OKWEB
もう辛い・・・。どうしたらよいかわからない・・・。
そんな時こそ、今一度お互いを見つめ直して歩み寄ることが大切になってきます。
その上で、日常生活での共通のルールをつくることをおすすめです。
ルールをつくる時は、「そのルールがなぜ必要なのか」を具体的に示してあげると、パートナーも受け入れやすいでしょう。
ポイントは、パートナーの意見を尊重してあげることです。
対処法その③:パートナーにASDの診断を強要しない
自閉スペクトラム症(ASD)のある人は社会的に適応していることも多いため、本人はまったく意識していないことがあります。
特に本人が困っていない場合などは、自分が持つ特性や症状、周りの人が感じていることに気づいていないこともあります。
そのような場合に無理に医療機関の受診を勧めてしまうと、余計に難しい関係性になってしまう可能性があります。
診断を検討する際は、パートナーとできる限りよく話し合い、本人が受診を受け入れられるような段階になってから、医療機関に行くようにしましょう。
対処法その④:会話への配慮と妥協も大切
アスペルガー症候群の人は、会話が苦手な人が多いとされます。
特に、人と対面しながらの会話が苦手な傾向があるので、会話する際は横に座るようにしましょう。
さらに、図やイラストを用いながら会話するのも効果的です。
また、アスペルガー症候群の人は、他人の気持ちを読み取るのが苦手な傾向にもあります。
どうしても理解できないことは、無理をせず、妥協して受け入れることも大切です。
対処法その⑤:互いの関わりに社会性を持ち込む
真面目な性格の人は、夫婦や家族だからという理由で「お互いに支え合わなければならない」と強く考えてしまう場合があります。過度に強い責任感を持つと、精神的にも身体的にもストレスを受けてしまう可能性が高いです。
思い切ってしばらくの間、別居するなど、強制的にお互いの接触回数を減らしてみるのもひとつの方法です。
住環境を変えることで、パートナーの自立が促される可能性があり、お互いの関係性を変えるきっかけになります。
また、共通の知り合いや医師など、信頼のおける第三者を交えて話し合うことも有効な方法です。
離婚すべき?アスペルガー症候群のパートナーとの付き合い方
アスペルガー症候群の配偶者をもつ人が、離婚を考えることは多いと思います。
ただ、コミュニケーション能力の問題などはアスペルガー症候群の特徴であり、本人に全く悪気はありません。
そのため離婚を躊躇する場合も多いです。
また、カサンドラ症候群の症状がはっきりと発生していないとしても、アスペルガー症候群のパートナーとの関係で、夫婦関係が上手くいかず悩んでいる人も多くいます。
夫婦の間でコミュニケーションがとれないことは、普通の夫婦でも起こることなので理解してもらえないこともあります
夫婦2人きりで悩むのではなく、信頼のおける第三者に相談することをおすすめします。
カサンドラ症候群のある人が利用できる相談先は?
カサンドラ症候群は正式な疾患ではありませんが、発達障害者支援センターや精神科、クリニックなどで相談することが可能です。
パートナーとアスペルガー症候群の特性や症状について話し合えるような関係性であれば、2人で一緒に相談に行くとよいでしょう。
また、カサンドラ症候群のある人だけで相談に行くこともおすすめです。
パートナーの行動や言動についての不安の解消につながります。
その他にも全国各地には、カサンドラ症候群当事者による自助グループがあります。
相談をし、共感してもらうことで治療につながる可能性もあります。
自助グループは少人数で運営していることが多く、定員もあるため、自分にあう場所を探してみましょう。
相談窓口①:発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害の早期発見や早期支援を目的としており相談や日常生活のサポートしてくれる施設です。
医療機関で発達障害の診断を受けていない人でも相談は可能です。またパートナーや家族に発達障害の人がいる場合の対応方法なども相談できます。
窓口は各都道府県や政令指定都市の自治体となっていますが、委託された事業所もあります。基本的に無料で相談ができ、希望すれば医療機関などの紹介もしてくれます。パートナーの理解が得られる場合は、2人で一緒に相談に行くのもよいでしょう。
相談窓口②:精神科・クリニックの受診
精神的にも身体的にも不調がありつらい場合は、精神科やクリニックを受診することもひとつの方法です。
精神科やクリニックでは薬物療法も可能なため、うつや不安の症状がひどい場合は発達障害者支援センターよりも、精神科やクリニックの受診を優先しましょう。
ただし、薬物療法はあくまで対症療法でしかなく、症状の根本的な症状の原因を改善するわけではありません。薬物療法でうつなどの症状を緩和しつつ、カウンセリングや認知行動療法を並行して、パートナーとの向き合い方を考えていきましょう。
相談窓口③:自助グループの活用
自助グループというのは、同じ悩みや問題を抱える人同士が集まり、支援し合うようなグループのことを言います。
- 当事者にしかわからない思い・経験
- 困難を乗り越える方法
- 辛いこと、大変なこと
同じ悩みを抱えてる人同時だからこそ、理解して支え合うことができる環境があります。
また、困難を乗り越えた成功体験も非常に多くあるため、今抱えている悩みの解決の参考になることがあります。
また、少人数で多数の自助グループが存在します。
自分の住んでいる地域の近くに自助グループがあるか調べてみるのも一つの手です。
まとめ
あまり広く知られていないカサンドラ症候群は、なかなか周囲の人から理解してもらえないことが多いです。
中には孤立感を感じてしまう人もいるでしょう。
アスペルガー症候群のあるパートナーとカサンドラ症候群のある人は、どちらもつらさを抱えています。
相手を責めすぎたり自分だけで背負いすぎることがないよう、お互いの理解を深めていきましょう。
精神的にも身体的にもつらい状況に置かれたカサンドラ症候群のある人と、アスペルガー症候群のあるパートナーとの2人きりの閉鎖された空間では、突破口を見つけることが難しいかもしれません。
夫婦や家族だけで悩みを抱えずに、アスペルガー症候群に関する知見のある第三者に相談することをおすすめします。