- 夫がうつ病気味な気がする・・・。
- 仕事のストレスが強い夫が最近、ずっと暗い…。どう接していったら良いのか分からない。
- 夫がうつ病になり、働けなくなって経済的に不安になってしまった。
- なんとかして夫を支えてあげたい
今回はこのような悩みを解決します。
うつ病は、日本では15人に1人がかかると言われていて、決して珍しい病気ではありません。
自分の大切な人がうつ病になってしまったとき、家族としてどう接すればいいのか、生活をどう支えていくのか、いろいろな事に不安を感じてしまいますよね。
私は看護師として患者さんと接する中で、患者さんに寄り添うご家族の不安な気持ちや、経過に対する焦り、夫婦の気持ちのすれ違いなど、いろいろな場面を経験しました。
その経験からつよく思うことは、病気の治療は本人だけではなく、最も身近なご家族の協力が不可欠だということです。
当記事では、うつ病の基本的な知識と、うつ病になった夫への接し方のポイント、してはいけない行動を紹介します。
そして、病気休職中の経済的な問題に関する制度の紹介と、あなた自身がつらくなった時の相談先をご紹介します。
当記事を読めば、うつ病治療中の夫への正しい接し方としてはいけない行動が分かり、休職となった場合に利用できる制度や相談先が分かるので、今後の生活に対する不安が軽くなるでしょう。
まずは当記事を読んでうつ病について理解を深め、ゆっくり療養できる環境を整えるところからはじめてみましょう。
昔と比べて暗い性格になった旦那はうつ病?チェック
うつ病は脳のエネルギーが欠乏して起こる脳の病気です。
気分が落ち込んだり、やる気が出ないなどの心理的な症状が続きます。
精神的に追い詰められるかも?旦那のストレス度合いチェック
チェック数が多いほど、「精神的に旦那は追い詰められて負担が大きい」結果となります。
いかがでしょうか?
もし上記のチェックシートが複数個当てはまるのであれば、「うつ病」の可能性があります。
実は、うつ病などの精神障害は、身体的な症状を伴うことも多く、ただ横になっているだけでもつらかったり、仕事に行けなくなったりします。
旦那はうつ病になってしまったのか?その原因は?
うつ病がなぜ、どのように起きるのかはまだはっきり分かっていません。
脳の働きに何らかのトラブルが起きていると考えられています。
うつ病を発症するきっかけはひとつではないということもさまざまな研究で分かってきています。
発症に関連しやすい要因は下記の2つです。
- 環境要因
- 性格傾向
2つの要因について詳しく解説していきます。
旦那がうつ病になってしまう原因①:環境要因
環境因子で多いのは以下の4つとされています。
- 人間関係のトラブル
- 仕事の失敗
- 仕事のプレッシャー
- 大切な人との死別
などの出来事です。他にも、昇進・栄転、家の引っ越しなどの喜ばしい出来事も発症のきっかけになる場合があります。
旦那がうつ病になってしまう原因②:性格傾向
うつ病など、精神的に追い詰められてしまう男性の性格は以下のような傾向があるとされています。
うつ病など精神的に追い込まれやすい性格の傾向
- 義務感が強い
- 真面目
- 完璧主義
- 凝り性
- 周囲に気を遣う性格
そのほかに『遺伝的要因』や『慢性的な身体疾患』など様々な要因が結びついて、うつ病の原因となっているのです。
うつ病といっても、さまざまな種類があります。
精神的に追い詰められている旦那に対して家族ができること
うつ病かも?そんな精神的に追い詰められている夫へ家族ができることを4つご紹介します。
- まずは自分の気持ちを安定させる
- 休養を促す
- アドバイスをせず共感を大切にする
- 大きな決断は先延ばしにさせる
うつ病になってから夫が別人のようになったと感じる妻は多いです。
あなた自身も、夫の変化に戸惑っていると思います。そんなあなたのために、接し方のポイントを詳しく解説していきます。
家族ができること①:まずは自分の気持ちを安定させる
パートナーがうつ病になった場合、まず自分の気持ちを安定させるようにしましょう。
病気の家族を心配するあまり、つい過干渉になってしまうご家族をよく見ます。
しかし、うつ病の患者さんの場合、家族に心配をかけている状況を気に病んで、さらに落ち込んでしまうことがあります。
心配して夫のケアに集中して、自分のことを疎かにしていませんか?
自分のための時間を確保して、適度に気分転換をしながら明るく過ごせるようにしましょう。
家族ができること②:旦那に休養を促す
充分な休養を取って回復する力を高めることが治療の第一歩です。
職場に相談して配属を変えてもらったり、残業時間を短縮してもらったりして、休める環境を整えていきましょう。
うつ病の人は、周囲へ人一倍気を使う人が多く『職場の人や家族に迷惑がかかってしまう』と自分を追い詰めてしまいがちです。旦那さんがそのような状況の場合は、『大丈夫、ゆっくり休んで』と声をかけてあげましょう。
家族ができること③:アドバイスをせず共感を大切にする
会話のときは、夫の気持ちに共感する姿勢で聞きましょう。
看護師の関わり方と同じですが、病気で気持ちが弱っている患者さんには助言よりも共感が大切です。
うつ病の方は、孤独感を感じている人が多いです。
「もっとこうしてみたら」とアドバイスをすると、自分を否定されたと感じて症状を悪化させてしまう場合があります。
「そうだよね、つらいよね」と共感を示しながら話を聞いてあげてください。
家族ができること④:大きな決断は先延ばしにする
うつ病になった場合、大きな決断は先延ばしにしましょう。
うつ病の時は悲観的になっていますので、「みんなに迷惑をかけて悪い」という思いから、退職や離婚などを口にする場合があります。
病気の影響で視野が狭くなっていて、その方法しか残されていないと思い込んでしまうのです。
「今は治療を優先しよう。その問題はあとで一緒に考えよう」と説明し、先延ばしにしましょう。
うつ病の疑惑がある旦那に対して、やってはいけない行動
うつ病に対する基本的な対応として、してはいけない行動は次の4つです。
- 原因を追究しない
- 外出や行動を無理強いしない
- 自殺をにおわせる言動を放置しない
- 言い争いを避ける
うつ病になった場合、接し方にも注意を払う必要があります。
あなたの些細な一言で心が大きく乱れる可能性があるからです。
夫の心を大きく乱さないためにも、してはいけない接し方について詳しく解説していきます。
やってはいけないNG行動①:原因を追究しない
パートナーがうつ病になった原因を探求しすぎないようにしましょう。
「なぜ病気になったのか」が気になると思います。
しかし、うつ病の原因は複雑で、特定できないことがよくあります。
原因ではなく、「今できること」を中心に考えるようにしましょう。
やってはいけないNG行動②:外出や行動を無理強いしない
外出や行動を無理強いしてはいけません。
気分転換させようと、無理に外に連れだすのは本人の負担になるのでやめましょう。
本人が望まない行動をさせようとしても良い結果になりません、本人のペースで見守りましょう。
やってはいけないNG行動③:自殺をにおわせる言動を放置しない
自殺をにおわせる行動を放置しないようにしてください。
うつ病では気分が落ち込んでしまい「自分なんていない方がいいんだろう」というような、自殺をにおわせる言動をすることがあります。
そういう場合は放置せずに「あなたは大切な人よ」と伝えて寄り添ってあげてください。
うつ病は、回復してきた頃が最も危険
実は、精神的に回復してきた頃が最も危険とされています。
症状が強く落ち込んでいるときは何も行動できない状態ですが、少し回復して行動できるようになると自殺を実行に移す可能性があるからです。
回復してきたからと安心するのではなく、パートナーの言動をよく観察していきましょう。
やってはいけないNG行動④:言い争いを避ける
言い争いは避けるようにしましょう。
夫の言うことに筋が通っていなかったり、明らかに間違ったことを言いだした場合でも、反論したり言い争いにならないようにしてください。
自分を否定されることに敏感になっているので、ちょっとした意見の食い違いでも「自分のことを否定された」「馬鹿にされた」と悪い方に受け取ってしまいます。
【経済的に不安】うつ病で夫が働けなくなった場合に利用できる制度
夫が病気で仕事を休む場合、これからの生活に不安を感じてしまうと思います。生活費の節約と並行して、次の制度を利用できるか確認してみましょう。
- 傷病手当
- 労災保険
- 障害年金
- 雇用保険
それぞれの制度について、詳しく解説していきます。
利用できる制度:傷病手当
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度となります。
病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
具体的には、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して給与の3分の2が支給される制度です。
支給期間は、令和4年1月1日より支給を開始した日から通算して1年6ヵ月間になります。
うつ病のような病に対応できるよう、職場復帰したり休業したりを断続的にできるような制度になっています。
利用できる制度:労災保険
労災保険の休業補償は、仕事中や通勤中のケガや病気が原因で労働できなくなったときに支給される給付金となります。
長時間の残業やパワハラなどにより業務との因果関係が認められた場合が対象になります。
こちらは傷病手当金よりも手厚く、休業補償給付と共通で支給される休業特別支給金と合わせて、給付額は給付基礎日額の80%まで支給されます。
傷病手当金についてはケガや病気で労働ができず無給になった4日目が支給開始日となりますが、業務災害による労災保険の場合は待機期間中の3日間も60%の休業補償を受けられます。
利用できる制度:障害年金
うつ病の症状が重くて『障害認定基準』を満たしている場合は、障害年金が支給されます。
平成28年9月より、認定基準をより具体的に示した「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が発表され、新たに審査の基準となっています。こちらを参考に主治医へ相談して、申請をしてみましょう。
うつ病の夫を支える妻が頼れる相談先
うつ病の夫を、妻が1人で支えていくのは想像以上に大変なことです。
外部のサポートには下記のようなものがあります。
- こころの耳相談窓口
- 精神科や心療内科の医師
- カウンセラー
- 患者家族会
- 保健所・精神保健福祉センター
あなた自身の心と身体が悲鳴を上げる前に、外部のサポートを頼りましょう。
こころの耳相談窓口
こころの耳は、厚生労働省の事業で働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。
うつ病の本人だけではなく、ご家族を支えるためのコンテンツも充実しています。
電話やSNS、メールなどで相談できるので、気軽に利用してみてください。
精神科や心療内科の医師
旦那さんが受診している病院の医師や看護師には、いつでも相談できます。診察に一緒に行くか、電話で連絡して面談日時の予約を取りましょう。
治療方針や今の症状を一番理解しているのが主治医なので、治療経過に沿った話ができますよ。
カウンセラー
病気の家族をサポートすることは、とても大変なことです。そんな時は、自分の気持ちを聞いてもらうだけでも、気分がラクになることがあります。
プロのカウンセラーならあなたの気持ちに寄り添って、今の負担を改善するためのアドバイスもしてくれます。相談してみましょう。
患者家族会
病院によっては、心の病気の患者家族会を設置して、情報交換の場としています。
うつ病患者を支える家族同士であれば、お互いの情報を話し合うだけでも参考になったり、気持ちが楽になります。そういう集まりの案内があれば、積極的に参加してみましょう。
保健所・精神保健福祉センター
保健所や精神保健福祉センターでも、心の病気に悩む人のサポートをしてくれます。
まずは電話で相談をしてみて、面談の予約を取りましょう。
パートナーを支えるのも簡単ではありません、あなた自身が心身の調子を崩さないように、相談先を確保しておいてください。
【まとめ】夫と一緒にうつ病を乗り越えるために大切なこと
うつ病は精神的にも身体的にもさまざまな症状が出現し、本人は非常に苦しい病気である事が理解できたと思います。
妻としてうつ病になった夫への接し方は下記の3つがポイントです。
- まずは自分の気持ちを安定させる
- アドバイスをせず共感を大切にする
- 大きな決断は先延ばしにさせる
してはいけない行動としては下記です。
- 原因を追究しない
- 外出や行動を無理強いしない
- 自殺をにおわせる言動を放置しない
- 言い争いを避ける
病気の家族のケアをすることは、想像以上に大変なことです。うつ病の治療は回復までに時間を要する場合も多く、本人だけでなく家族も不安や焦りを感じてしまいます。
一番大切なことは、夫の治療を支えていくためにも、あなた自身がまいってしまわないことです。あなたの表情が明るければ、それを見る旦那さんの心も軽くなります。
うつ病は必ず治る病気です。
焦らずに温かく見守ることが、回復への近道になります。
一人で悩まず外部のサポートを上手に取り入れて、旦那さんの治療を支えていきましょう!