「夫は仕事・妻は育児と家事」と言われたのはひと昔のことです。
今では、女性も出産後も正社員として働く家庭がかなり増えてきており、働き方や子育ての仕方も多様化しております。
現代では、夫婦で助け合いながら子供と向き合っていくことが当たり前となっています。
しかし、共働きとは言え、まだまだ女性の子育て負担が非常に大きいのが現状です。
- 平日は残業ばかりで夫は、家に帰れない
- 休日も仕事で呼ばれることがあり、家族の時間があまりない
- 子育てのために妻が自分の身を削っている姿が辛い
このように、仕事を理由に子育てが出来ないことをキッカケに「子供のため、家族のため」に転職を考える男性も少なくありません。
本記事では、男性が家族のことを第一優先に考えた時に、仕事の選び方や転職活動をする上でのポイントを解説します。
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仕事が原因で「子育てが出来ない」と感じる男性の割合
仕事と子育ての両立ができないと感じてる家庭の割合はどのぐらいあるのでしょうか。
正社員を対象した「子育ての分担の実情」について、厚生労働省が調査した結果を一部抜粋すると、以下の通りとなっています。
「男性・正社員」における子育ての分担
子育ての分担度合い | 割合 |
---|---|
妻がほとんど子育てを行っている | 10.4% |
夫が少し担い、妻がほとんどを担う | 49.1% |
夫と妻とそれぞれ半分程度担う | 21.3% |
夫がほとんどをが担い、妻が少し担う | 6.1% |
夫がほとんど子育てを行っている | 3.5% |
おそらく男性のほとんどが正社員として仕事を全うされていると思います。
男性・正社員の条件において、「夫が子育てができない・ほとんどを妻が子育てを行っている」と感じる割合が59.5%と半数以上となります。
このように、「仕事と子育ての両立ができない」と男性も感じてるのが現状となっています。
「女性・正社員」における子育ての分担
最近では共働きの割合も増え、子供が産まれても妻も正社員として勤務を続ける割合が増えてきています。
では、女性側が回答した「子育ての負担度合い」についても確認しましょう。
子育ての分担度合い | 割合 |
---|---|
妻がほとんど子育てを行っている | 27.7% |
夫が少し担い、妻がほとんどを担う | 50.8% |
夫と妻とそれぞれ半分程度担う | 20.6% |
夫がほとんどをが担い、妻が少し担う | 1.2% |
夫がほとんど子育てを行っている | 0.3% |
調査結果は、「夫が子育てができず・ほとんどを妻が子育てを行っている」と感じている女性の割合はなんと78.5%とほとんどの女性が感じているのです。
このように同じ正社員として働いているにも関わらず、8割近い女性が夫よりも子育ての分担が多いと感じております。
参考文献:仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書
子育て・家族の負担を減らすために転職を考える男性は多い
共働き夫婦だとしても子育ての分担が妻の方が多いという結果のが現状です。
そのため、奥様は家事や育児の時間を確保する必要があり、仕事では思うようにキャリアアップできないケースも少なくありません。
朝起きてご飯を作り、保育園へ送り出しをし、そのまま職場へ。
帰ってきたら急いでご飯の準備・お迎え、寝かしつけ・・・。
共働きをしている女性は、仕事に育児にそして家事にと、本当に大忙しです。
この状況が長期的に続いてしまうと妻のストレスは溜まる一方。
些細なことで夫婦喧嘩や揉め事の原因に繋がりかねません。
子供・妻のために転職を考える男性
- お金を稼いで、家族に楽な思いをさせたい
- キャリアップをしたい!お金も稼ぎたい!けど、子供と一緒にいたい…。
- 今の現状が続くと、妻の負担が大きく夫婦関係が悪化しそう
このような葛藤の中、自分の働き方を見つめ直して、子育てや家族のために転職を考える男性は少なくありません。
子供のために男性が転職を考える理由とは?
子供が産まれたこと・家族との時間を大切にするために、転職を考える男性は、少なくありません。
実際に子供が産まれて子育てを始めてから転職を検討する理由は以下の通りとされています。
- 残業が多くて、妻がワンオペ育児状態
- 休日にも仕事が急に入り家族との時間がない
- 職場が遠く、帰りが遅くなる
- 転勤が多い
- 仕事が激務で、疲れ切ってしまう
転職理由①:残業が多くて、妻がワンオペ育児状態
- 妻の実家も遠方で助けがない
- 妻が育児でヘトヘト状態だけど、平日は助けることができない
- 定時で帰りたいけど、帰れる雰囲気ではない
仕事を定時に帰ることができず帰宅したら、子供と妻はすでに寝ていて、家事や育児が終わっている状態でコッソリ忍足で家に入る。
このような妻がワンオペ状態で大変なことを見兼ねて、転職活動をされる方も少なくありません。
- 妻:仕事と家事と育児の両立で肉体的にも精神的にもしんどい。
- 夫:仕事が忙しくて家に帰ったら何もできない。
夫婦二人が一杯一杯の状態だと、夫婦関係も上手くいかなくなってしまう原因にも繋がります。
転職理由②:休日にも仕事が急に入り家族との時間がない
仕事が不定期の人や、営業先のアポイントの関係で、休日にも仕事の予定が入ってしまう働き方をしている男性は少なくありません。
仕事が第一優先であることは理解できますが、その分家族と過ごす時間を犠牲にしてしまいます。
このような日々が続くことで、子育てが出来ずに子供との距離を感じてしまうケースが多いとされます。
家族のために働いているのに、家族との時間を過ごすことが出来ないギャップに悩んで転職活動をすることを決意します。
転職理由③:職場が遠く、帰りが遅くなる
総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査結果」を参照すると、通勤時間の平均は1時間19分とされており、片道39.5分が平均とされています。
しかし、都市部では、職場周辺の家賃が高くて住むことができず、少し離れた立地に住居を構える人は少なくありません。
そのため、職場まで通勤時間が片道1時間以上かかる人は少なくありません。
中には家から職場まで片道2時間も掛けて通勤する人も・・・。
仮に定時が7時なサラリーマンが急いで帰ったとしても、自宅に着くのは8時以降です。
子供が小さいとそのぐらいの時間帯は、お布団に入って寝かしつけを始める時間になってしまいます。
そんな男性の平日は、子供と遊ぶことが出来ず、寝顔をそっと覗き込んで終わりです。
平日でも家族との時間をほしいと考えて転職を検討します。
転職理由④:転勤が多い
- 数年に1回、全国転勤があり、子供の負担が大きい
- 子育てのためにマイホームが欲しいけど、いつ転勤があるから買えない
- 夫が単身赴任になり、家族と会えるのは週末だけ
大手メーカーなどでは、数年毎に勤務が異動になる。
このように3年〜5年単位程度のスパンで会社の都合によって異動の辞令が出ることは多々あります。
子供がいる家庭では、転勤の度に子供の学校の天候や保育園の転園などで負担を強いてしまいます。
または、夫が一人で単身赴任をして働き、週末の数日だけ家族と会うような働き方をしている家庭もあります。
このように、転勤が多いとそもそも子育てに参加することが難しくなってしまいますよね・・・。
そのため、子育てや家族のために転職活動をする男性が多いとされます。
転職理由⑤:仕事が激務で、疲れ切ってしまう
近年では労働基準法などが見直され、働き方が変わってきました。
とはいえ、業種や職業によっては今でも激務と言われる仕事はたくさんあります。
このような激務と呼ばれるような仕事をされている男性は、仕事だけで体力の全てを使い果たしてしまうほど疲労困憊となります。また、仕事のプレッシャーによって精神的にもヘロヘロです。
その状態で、「子育てや家庭のことまで出来るか?」と聞かれると中々難しいですよね。
もちろん、両立できる人もいますが、体はどんどん疲れていきます。
「このままじゃ限界かな・・・?子供も産まれたし家族の時間も作りたい」
こんなことを理由に転職活動をする男性は非常に多いです。
子育てや家族のために転職活動をする上でのポイント
家族や子供のために転職をしたとしても、転職先がより子育てに従事しにくい大変な環境になってしまうと本末転倒です。
入社してから、後悔しないためにも転職活動をする上での大切なポイントを確認しておきましょう。
子育てをする上で、重要視するポイントを整理する
仕事と子育ての両立は非常に大変です。
ビジネスマンとしてもキャリアップをしたい反面、子供との時間を大切にしたいジレンマがあると思います。
そのため、子育てをする上で重要視するポイントを転職活動をする前に夫婦で決めておくことをお勧めします。
転職活動をする上でのPOINT:
家族の時間を作る上で大切にしたいこと
- 転職先の仕事が必ず土日祝が休みである
- 転職先の仕事が職場から近く、子供が寝る前に帰ることができる
- 転勤がなく、実家のサポートも受けられる環境で仕事ができる
- 転職先がリモートワーク中心で、仕事が終わったらすぐに育児に参加できる
妻が大変で育児に積極的に参加したい男性であれば、妻が一番居てほしい時間に一緒に子育てができることが大切です。
家族の時間や思い出を大切にしたい人であれば、子供が一日家にいる土日は休みたいなど、家庭によって仕事と子育ての両立の仕方が異なります。
しっかりと夫婦で話し合い、転職先を選ぶ上での条件として確立しましょう。
妻が求めるものと夫がやりたい仕事の擦り合わせ
せっかく家族のことを考えて転職活動をしようと考えているのであれば、妻が夫に求める譲れないものと、夫がやりたい仕事のすり合わせを行うことをお勧めします。
実は、この価値観のすり合わせは非常に大切です。
妻が夫に何を求めているかを理解することによって、今後の仕事選びや夫婦関係の円満度合いもガラリと変わります。
例)
- 平日は遅くても良いから、土日祝は必ず家族の時間が取れるようにしたい
- 朝の準備が大変だから、夫の出社は妻より遅い方が助かる
このように夫婦によって妻が求めているものは異なります。
家族や子育てのために転職を検討している男性は、妻が夫に「これだけは最低限してほしいこと」を話し合い、やりたい仕事で実現可能か確認しておきましょう。
転職活動中に擦り合わせができると、再就職先の会社に勤務してから、夫婦が納得した形で生活できます。
夫婦でキャリアプラン像を考えておく
転職活動をするにあたって、夫婦で今後のキャリアプランを考えておくことも大切です。
理由としては、昨今は夫だけが働いている訳でなく、妻も正社員として働いている家庭も非常に多いです。
キャリアプランを考えて行動するのは、男性だけの時代ではなくなっています。
そのため、夫婦でしっかりと妻は「どんな働き方を続けていきたいのか?」まで一緒に考えていくことをお勧めします。
例)妻のキャリアプラン
- 子供が小学校に入ったら正社員ではなくパートや時間勤務で働きたい
- 仕事が楽しいから、このまま正社員として働き続けたい
- 給与面が心配だから、働かなきゃいけないから働いている
- 家族だけの環境だけでなく、外の繋がりが欲しい
子育てのために転職を考えている男性は、家族思いの夫かと思います。
ぜひ、妻のキャリアプランにも目を向けた上で、両方が実現できそうな職種を探してみてはいかがでしょうか。
育休をとりやすい会社か確認する
会社の制度として育児休暇(育児休業)が用意されていたとしても、職場の雰囲気によっては取得しづらいことも多々あります。育休制度が用意されていたとしても、育休の取得しやすさは会社によって異なります。
転職する際は、育休制度が用意されていることはもちろん、育休制度が「実際に取得されているか」も転職の判断材料にしましょう。
見分け方
この育休制度に積極的に推進している企業の多くは、「くるみんマーク」と呼ばれる認定を受けていることがあります。
くるみんマークとは、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けた証明となります。
くるみんマークを取得できる企業の条件に「計画期間に育児休業等を取得した男性従業員が1人以上おり、なおかつ認定申請時に在籍していることも認定の要件」があります。
そのためくるみんマークを取得している企業は、男性従業員が1名以上、育児休業を取得した企業の証明にもなります。
転職活動をする際にくるみんマークの有無を一つの目安にしても良いかもしれません。
参考文献:くるみんマーク
【パパになる準備】男性が育休を取得するタイミングはいつがベスト?夫が休める期間は?
父親が子育てのために転職する時の注意点3選
子育てのために転職を検討している父親が、転職活動をする上で、注意すべきことが3つあります。
この注意点を意識して面接試験などを行わないと、希望の職種に中々採用されない原因になる恐れがあります。
注意点①:転職活動は、仕事を続けながら行う
今の貴方は、奥様に子供と絶対に守るべき存在がいます。
そのため、無鉄砲に今の仕事を辞めてから転職活動をすることは絶対にお勧めできません。
一定の収入を確保した状態で、転職活動を行うことをお勧めします。
金銭的な保証があると気持ちに余裕が生まれ、慎重に新しい職場を見極めることができます。
特に家族や子育てのために転職活動をするのであれば、より吟味して再就職先を探していくようにしましょう。
注意点②:「子育てがしやすい・残業が少ない」を志望動機にしない
仕事と家庭の両立をすることはとても大切なことですが、ワークライフバランスのことばかり面接中に主張されると、採用されにくい傾向にあります。
企業側は、次のような自社にとってメリットとなる人材を優先的に採用します。
採用側の考え方
- 企業理念や仕事内容に共感を持てる
- 自社でどんな貢献をしてシナジーを生み出してくれるか
- この人材が入ることによってどんなプラスの効果が生まれるか
- 責任感があり、会社に貢献してくれるか
ワークライフバランスのことばかり主張すると、転職の目的が「早く帰りたいから」「仕事がしんどいから」など悪い印象を与えてしまう恐れがあります。
就職したい企業だからこそ、「会社に入って自分が貢献できること」「志望理由」をアピールするようにしましょう。
注意点③:福利厚生や勤務条件の質問ばかりする
福利厚生や勤務条件を重要視したい気持ちは分かります。
しかし、福利厚生や勤務条件の質問ばかりしてしまうのは企業側にマイナスの印象を与える恐れがあります。
面接官の立場に立つと、このような質問ばかりする人は、仕事に興味があって入社したいのではなく、福利厚生や勤務条件が目当てで入社をしたい人に見えてしまいます。
面接試験まで足を運んでいるのであれば、当然仕事内容や、その会社でのキャリアプランにも期待があるはずです。
より自分を魅力的な人材であることを伝えるためにも、志望理由を明確に伝えることを優先しましょう。
その上で、雇用契約書や勤務条件に記載がない気になるポイントを1〜2個程度、質問することが好ましいです。
まとめ
本記事では、男性が「子育てに参加したい」ことを理由に転職を検討することについて解説しました。
共働きが当たり前となっている時代のため、家族の時間・子供と過ごす時間を大切したい男性も増えてきています。
今の働き方に疑問を感じているのであれば、仕事を継続しながら転職活動をしてみることも一つの手段です。
転職活動を行うこと自体にデメリットはありません。
面接をすることで、今の会社以外の社風などを知ることができるためメリットの方が多いとされます。
ぜひ、奥様と相談して後悔のない仕事選びができるようにしましょうね。