パートナーの浮気が発覚したら、「慰謝料請求したい」と考えるのは当然のことです。
しかし、慰謝料の相場や請求方法は、あまり知られていません。
それは、浮気によって請求できる慰謝料額について、具体的に定めた法律などがないからです。
今回は、浮気された場合の慰謝料の相場や慰謝料請求におけるポイントと注意点をお話ししていきます。
慰謝料の請求を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
慰謝料を請求したいけど、分からないことだらけ
ネット上でも、「浮気されたことで、慰謝料をパートナーに請求したいけど、相場がわからないから教えてほしい」という質問が数多く投稿されています
主人が浮気をし、そのほかにも多々問題があり、離婚するか否かの決断に迫られています。
浮気をする前から、自営業で自由がきくのをいいことに、浪費(おもに飲み代)、借金、酒好きで飲んだくれて警察のお世話になること数回、 子供もいるのに家庭や子供を顧みない自由な生活、平日夜に飲んだくれて翌日の仕事は午後からの出社などの仕事への不真面目さ、主人だけの小さな自営業のため子育てしながら仕事を手伝う妻への不配慮・思いやりのなさ等々、問題だらけだったことに対して私が爆発し、主人を追い出して短期間別居をしたところ(主人は会社で寝泊まり)、その2ケ月の間に私への腹いせで浮気をしました。反省はしていると言うものの、私が追い出したせいだと心の底からの反省はなく、でも離婚はしたくないと主人は言っています。 単発の浮気っぽいのですが、今まで何度言っても自分の自由な生活や浪費を直せない人なので、浮気も含めてやり直すにはよほど大きなダメージを与えないと再発すると思います。
子供も小さいことから、すぐに離婚するのではなく、まずは離婚をしない条件として、ペナルティ的な慰謝料をいくらかもらって、復縁するという案を出してみようかと思います。
このような状況で、離婚はしない前提で、浮気の慰謝料はいくら請求するべきだと思いますか。 同じようなご経験をされている方のご意見をお聞きできれば助かります。どうぞよろしくお願いします。
okwave
ご覧の通り、ひとくくりに「浮気の慰謝料」といっても、人それぞれケースが異なるのが当たり前なのです。
実際のところ、慰謝料額は婚姻期間、子供の有無、浮気の期間や回数、浮気発覚後の対応等、さまざまな事情をもとに決定されます。
しかし、事情は違っても浮気により自分が傷ついたことに変わりはありません。
事前に正しい知識を持っていないと、希望どおりの慰謝料を支払ってもらうのは難しくなってしまうでしょう。
浮気された慰謝料の平均的な相場とは
一般的な浮気慰謝料の相場は、数十万〜500万円程度になります。
かなり金額に幅があると感じると思いますが、実際には以下の3つのパターンによって、だいたいの相場の金額幅が分かれています。
ただし、あくまでも相場ですので、実際の請求金額は個別の事情により異なるので注意が必要です。
慰謝料相場のパターン①:浮気が原因で離婚する場合
慰謝料相場が最も高額になる可能性が高まるのは、浮気によって夫婦関係が破綻し、離婚することになった場合です。
慰謝料の相場は、100万円〜500万円程度とされて今す。
慰謝料相場のパターン②:浮気が原因で別居する場合
離婚に至らなくても別居した場合は、慰謝料相場は比較的高い金額になります。
慰謝料の相場は、100万円を超えるケースが多くなるでしょう。
慰謝料相場のパターン③:夫婦関係を継続する場合
浮気の事実があっても離婚はせず、夫婦関係が維持される場合は、慰謝料相場は比較的低い金額になります。
慰謝料の相場は、50〜100万円程度となるケースが多いでしょう。
慰謝料を請求する前に知っておくべき4つの注意点
先ほども述べたように、浮気によって請求できる慰謝料額について、具体的に定めた法律はありません。
浮気のパターンも人それぞれ違うのが当たり前ですし、夫婦にはそれぞれの婚姻期間、子供の有無等、さまざまな個別事情により慰謝料の金額は変わってきます。
ここからは、慰謝料の金額に影響する要因についてお話ししますので、ぜひ参考にしてください。
注意点その①:慰謝料が高くなる?慰謝料の金額に影響を与える要因
パートナーの浮気が原因で、夫婦関係の破綻以外にも慰謝料の金額に影響を与える要因はあります。
以下のようなケースでは慰謝料が高くなる可能性があります。
自分のケースに該当する項目がある場合は、慰謝料の交渉時に増額の理由をしっかりと主張しましょう。
浮気された事による慰謝料が増える可能性がある要因
- 婚姻期間が長い
- 浮気開始前は家庭生活が円満であった
- 浮気が長い期間であった
- 浮気相手が積極的だった場合
- 当人らが浮気を認めないなど不誠実な場合
- 浮気相手が妊娠した
- 浮気による家庭生活への影響が大きい場合
- 子どもがいる/子どもの人数が多い
- 浮気したパートナーまたは浮気相手の年収や資産、社会的地位が高い
- 浮気相手の年齢が高い
- 浮気されたパートナーの経済力が低い
注意点その②:慰謝料を請求できない?相手の故意や過失が認められない場合
浮気の事実が発覚しても、慰謝料が請求できないケースもあります。
民法では、不法行為により損害賠償が認められる要件を、下記のように規定しています。
故意または過失があり、他人の権利または法律上保護される利益を侵害した
民法第709条
つまり、浮気相手に故意または過失があり、あなたの権利や法律上守られる利益が侵害されたという事実がない限り、慰謝料請求は認められないのです。
また、浮気が発覚した時点で、すでに夫婦生活が破綻していた状態で、別居または離婚に向けた協議を始めていたような場合には、法的保護に値する利益がないと考えられる可能性が高いです。
そのためパートナーに対しても、浮気相手に対しても慰謝料の請求は認められません。
注意点その③:慰謝料請求の権利が消滅?注意したい「時効」について
あなたが浮気に気が付いているのに何もしなければ、慰謝料を請求する権利そのものが消滅してしまう可能性があるので注意が必要です。
浮気の事実が発覚したのなら、早めに行動を起こすことをおすすめします。
不法行為に基づく損害賠償請求権は、次の期間を超過した時点で時効によって消滅します
民法第724条
損害および加害者を知ったときから3年間行使しないとき、不法行為から20年間行使しないとき
注意点その④:配偶者だけではない?慰謝料を請求できる権利
パートナーが浮気をした場合に、慰謝料を請求できるのは、浮気された配偶者のみです。
婚姻届けを提出して法律的にも認められた配偶者はもちろんですが、事実婚(内縁関係)の場合でも、事実上、夫婦同等の生活を営んでいると評価される場合は、慰謝料を請求する権利があります。
ただし、浮気の証拠だけでなく、さらに内縁関係にあることを証明する必要があります。
法律婚のケースと比較すると事実婚の場合は、慰謝料請求のハードルは上がる傾向にあります。
なお、浮気の発覚によって深く傷つくのは、配偶者だけとは限りません。
子どもがいる家庭の場合、親の浮気によって子どもが、つらく悲しい思いをすることもあるでしょう。
ある程度成長した子どもの場合、子ども自身が浮気相手に対して、慰謝料の請求を考えることがあるかもしれません。
しかし、子ども自身が親の浮気相手に対して慰謝料を請求することは難しいのが実情です。
ただし、未成年の子どもがいる場合は、慰謝料が高くなる傾向にありますので、子どもの気持ちも考慮しつつ、慰謝料請求額を検討すると良いでしょう。
慰謝料請求には必要不可欠!浮気の証拠集め
浮気が発覚し、慰謝料を請求するためには、浮気の事実を証明できる「証拠」が必要です。
浮気の事実を証明できる証拠がなければ、慰謝料を請求することは難しくなります。
なぜなら、パートナーが浮気を否定した場合、証拠がなければ、それ以上の追求は困難になってしまうからです。
さらに、自分で行う浮気調査は法的なリスクが発生する可能性がありますので、注意が必要です。
ここからは、有効な証拠集めの方法や注意点をお伝えします。
自分ひとりでできる?慰謝料請求に有効な証拠集め
浮気は法律上、「不貞(ふてい)」といいます。不貞は「既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」です。
肉体関係を立証できなければ「不貞」とは認められず、慰謝料を支払ってもらえない可能性が高まります。
しかし、いざ自分で証拠集めをしようと思っても、そもそも慰謝料を請求するのに有効な「証拠」とは、一体どういったものなのかわからない人も多く見受けられます。
浮気の慰謝料を請求する際に必要な証拠は以下の通りです。
浮気の証拠集めをする際は、ぜひ参考にしてください。
浮気の証拠について
- 写真、動画
- 浮気の自認書
- LINEメッセージやメール、SNSの記録
- 携帯電話の通話記録
- クレジットカードの利用履歴、領収証
- スケジュール帳
- 探偵事務所の調査報告書
不貞行為を立証させるためには「肉体関係を立証できる証拠」を集めることが重要です。
写真や動画も「直接的に肉体関係を証明できるもの」であれば、不貞と認められる可能性が高まるでしょう。
たとえば2人でホテルに入るところなど、肉体関係があるとストレートに推測できるような証拠を集めましょう。
LINEのメッセージやメールも「2人で宿泊したこと」がわかるやりとりなどは、証拠としての価値が高くなります。
「違法行為」の危険性!証拠を集める際のリスク
浮気されたとき、冷静でいられる人は少ないでしょう。
しかし、感情に任せて行動してしまうと、思いもよらず「違法行為」につながる可能性があります。
法的な知識がなく、どこからが違法行為に該当するのかわからない方も多くいます。浮気の証拠集めをする際は、リスクもありますので細心の注意を払って行動するようにしましょう。
最近は、小型カメラやボイスレコーダー、GPS発信機などの浮気調査グッズも数多く販売されており、誰でも気軽に購入できます。そのため、盗聴なども以前よりも簡単に行えるようになり、ある程度は自分で浮気の証拠集めができるようになりました。
しかし、本人の承諾を得ずに、パートナーや浮気相手の私物(スマホや車など)にボイスレコーダーやGPS発信機等をとりつけ、行動を監視することは、違法行為としてみなされる可能性があります。
以下のような行動は、違法行為とみなされる可能性があるので注意が必要です。浮気の証拠集めをする際は十分に注意してください。
相手を脅し強制的に自認書を書かせる
浮気相手が不貞行為を自ら認めて「自認書」を書いてくれれば、浮気の証拠となります。
しかし、脅したり、暴行を振るったりして書かせた場合は、強要罪や脅迫罪、暴行罪とみなされる可能性があり、書類は無効になります。もちろん相手を監禁する行為も違法です。
住居侵入・建造物侵入
浮気の現場を押さえるために、浮気相手の自宅などの「他人の敷地」に侵入してしまうケースがあります。
このような行動は、「住居侵入罪」が成立してしまう可能性があります。
浮気された怒りをコントロールできずに、勝手に人の住居や建造物に侵入することは違法行為とみなされます。
不正なアプリを使用してデータを閲覧する
最近は、浮気の証拠を集めるのに便利なスマホアプリが数多くあります。
しかし、WEB上のページに他人のIDやパスワードを使ってログインすると、「不正アクセス禁止法」違反となります。
たとえ配偶者であっても、IDやパスワードを相手に無断で入力してはいけません。
ただし、ダウンロードされた後のデータであれば、閲覧することは違法ではありません。
相手のスマホに保存されている情報や位置情報を無断で抜き取ったり、「浮気調査アプリ」にも注意が必要です。
相手のスマホに無断で不正なアプリをダウンロードすると「ウイルス供用罪(不正指令電磁的記録供用罪)」とみなされる可能性があります。
ひとりで悩まない!証拠集めに限界を感じたら…
浮気調査グッツを活用しても自分ひとりでは、不貞を立証するのに十分な証拠を集められないケースもあるでしょう。
そのような場合は、間接的な証拠を数多く集めて浮気を推認させる方法もあります。
たとえばクレジットカードの利用履歴、ETCカードの履歴、通話記録などの間接的な証拠でも数多く集めると、浮気が認定される可能性があります。
もし、自分ひとりでの証拠集めに限界を感じた場合は、探偵事務所に依頼するのも1つの方法です。
浮気相手と2人で旅行するところや浮気相手の自宅に泊まるところ、ホテルに入るところなどを押さえられれば、有効な証拠を入手できます。
プロの調査により、浮気の現場を押さえた「調査報告書」があれば、裁判でも「不貞」を立証できる可能性は高まります。
費用はかかりますが、プロに依頼するメリットは大きいです。
また、最近では無料に浮気調査の相談ができる窓口なども増えてきています。
このようなサービスを利用してみるのも一つの手段です。
「どうやって慰謝料請求すればいい?」慰謝料の請求方法と注意点
実際に慰謝料を請求するには、どのような流れで請求すればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか?
慰謝料はパートナーと話し合い直接請求することも、裁判を起こして請求することも可能です。
ここでは、慰謝料の請求方法と注意点についてお話しします。
トラブルに合わないために…慰謝料の交渉時にやるべきこと
まずは、パートナーと話し合いをして、直接、慰謝料を交渉しましょう。
ただし、2人では冷静に話し合いができないと判断される場合は、「第三者がいる場所」で話し合いをすることをおすすめします
第三者をはさむことで、お互い冷静になれるだけでなく、後々「脅された」などの言いがかりをつけられるなどのトラブルを未然に防げます。
お互い納得のいく話し合いが成立した場合には、必ず合意した内容を「示談書」などの形で書面化しておきましょう。
書面化することで、後々トラブルになった場合にも安心です。さらに、書面を作成した後は、公証役場にて公正証書にしてもらうこともおすすめします。
執行認諾文言付きの公正証書にしておけば、万が一、相手側が約束した慰謝料等を支払わなかった場合、訴訟手続きをすることなく強制執行することが可能です。
慰謝料請求の強い意思表示!内容証明郵便を送る
直接会って話し合いをせず、内容証明郵便を送って請求するという方法もあります。
内容証明郵便とは、「差出日・差出人・宛先・書類内容」などを郵便局が証明してくれるサービスのことです。
ただし、内容証明郵便は任意での支払いを促すものになりますので、支払いに応じるかはあくまでもパートナー次第になります。しかし、こちら側に慰謝料を請求する強い意思があることを相手側に伝えるという意味では効果があるでしょう。
【最終手段】どうしても話し合いで決着できない場合
どうしてもお互い納得のいく話し合いができない場合や、パートナーが慰謝料の支払いに応じない場合は、裁判所を介して請求することになります。
調停と裁判の2種類の方法があります。
調停では、裁判所で調停委員を交えて話し合いを進め、基本的に、当事者同士で顔を合わせることはありません。
裁判所を介する手続きではありますが、調停はあくまで話合いの場です。
そのため、解決するためには双方の合意が必要となり、当事者間で合意できれば調停成立となります。
調停で話し合っても合意が難しい場合には調停不成立となり、最終的に訴訟を起こすことになります。
自分一人で裁判を起こすことも可能ですが、裁判では法律的な知識が必要不可欠なため、基本的には弁護士に依頼することになります。
まとめ
浮気が発覚したことにより受けた精神的苦痛を、少しでも癒すために慰謝料を請求しようと考える人も多いでしょう。
しかし、実際に慰謝料を請求するには、浮気の証拠を集める必要があり、さらに不貞行為を立証させるためにはリスクが発生する可能性もあります。
また、さまざまな手続きも必要であり、自分ひとりで行うには難しいと感じることもあるでしょう。
慰謝料の金額で損をしないためにも、ひとりで悩みを抱え込まずに、専門知識が豊富な探偵事務所や専門家に相談してみることをおすすめします。きっと、あなたにとって役に立つ最善のアドバイスがもらえることでしょう。