子どもがいる夫婦にとって、離婚はできるだけ避けたいものです。
しかし、どうしても離婚を選択しなければならないケースもあるでしょう。
自分一人だけであれば、どんなに大変な思いをしたとしても人生のやり直しはできます。
しかし、子供を育てることを考えると、大変というだけでは片付けられない問題が生じてきます。
離婚を決心したら、やるべきことは本当に数多くあります。
子連れ離婚で後悔しないために、やることを整理してリスト化することをおすすめします。
特にお金に関することは、養育費を含めてもらえるものはしっかりともらい、利用できる制度はしっかり利用しましょう。
今回は「子連れ離婚に不安がある」「何をやればいいのかわからなくて離婚に踏み切れない」という方に向けて、子連れ離婚でやることを解説します。また、シングルマザーが受けられる支援も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
別れたいけど、何を準備すべきか分からない人がほとんど
離婚をする場合、事前準備や離婚後の手続きは非常に多く、大変です。
しかし、煩雑なあまり具体的に何をどうすべきか?分からない人がほとんどです。
ネット上でも、離婚に向けて準備はしたいが、具体的にどうしたらいいのかわからない方からの質問が投稿されています。
離婚の準備をしたいです。
離婚を考えています。
現在、旦那(40)は単身赴任中で月1、連休などを利用して帰ってきています。
子供は男の子2人(年齢12・11)、私(38)はフルタイムのパート勤務です。
3年ほど前に家を建てたのをきっかけで旦那が単身赴任になりました。私も母子家庭で育ったので、子ども達の事や収入面の現実的な事を考えると今もこの先も離婚しないのが一番だとは思っています。
浮気など大きなきっかけはないものの、些細なことが積もり積もっています。
帰ってくると思うと動悸がしたり、具合が悪くなったりもします。私も決して良い妻だとは思いませんし、お互い様なのかもしれません。
しかし、この先一緒にいる事は本当にいやなんです。
すぐとは言いませんが、将来的に離婚するとして、どんな準備が大切ですか?
そして、子供を手放さないためにどんな事に気をつければいいでしょうか?貯金や自分の収入面の確保は考えていますが、今のままの漠然とした理由で離婚は出来ないと思うので、なにか理由になるものを集めていたいです。
思いつくのは…
◎自分の気に入らないことにすぐ怒る、どなる。(不機嫌にならないよう終始顔色を伺ってます)
◎他人の価値観を否定、バカにする。
◎何かと文句をつける。まだありますが、子供達が一番てのかかる小さい時は出張や転勤で、今も単身赴任などで私一人でほとんどやっています。
離婚には全く応じてくれなさそうなので、具体的な理由がないと調停を起こしても離婚出来ないかなと思います。
yahoo知恵袋
離婚準備について。
こんにちわ。夫との離婚を考えています。夫の両親の同居です。
子供は4歳で幼稚園に通っています。
去年の1月に3ヶ月くらい別居をして、その時に離婚届けをお互い書くまで話が進みましたが、子供もまだ小さかったので思いとどまり夫のもとへ戻りましたが…
夫の性格、夫の両親の問題…その他いろいろですが(気になる方は前の質問をお読みくださいm(_ _)m)、やはり無理かなって思い再度離婚を切り出そうと思っています。
私には借金があり、このままでは生活できないと思い昨日任意整理の手続きをしてきました。
私も仕事をしていますし、離婚後はしばらく実家にお世話になるつもりです。
親も了承済みです。そこで聞きたいのですが、離婚するにあたりいろいろな手続き等でしばらく仕事はお休みをいただいたほうがいいのでしょうか?
今住んでる家から実家は40分くらいですが、幼稚園も変えたほうがいいのでしょうか?
まず、何から準備をしたらよいのか。。。
インターネット等で調べてはいるのですが、イマイチわからなくて質問しました。
仕事と幼稚園は実家近くのほうが楽だとは思いますが、いつどのタイミングで辞めたらいいのか迷っています。
それと、引越しなど。。。どうぞ、アドバイスなどあればよろしくお願いします。
yahoo知恵袋
離婚準備で何をすれば良いか分からず、悩んでしまう人は少なくありません。
離婚ができない理由の第一位:お金【アンケート調査】
本記事を書くにあたり、PaMarry編集部では、夫と離婚ができない理由についてアンケート調査を行いました。
- アンケート調査対象:既婚者女性(20代~50代)
- 人数:100名
- アンケート内容:夫と離婚ができない理由は何ですか?
- インターネットによるアンケート調査
離婚ができない理由 | 人数 |
---|---|
先が見えない | 31人 |
お金 | 41人 |
住む場所がない | 11人 |
子供がかわいそう | 13人 |
離婚させてくれない | 4人 |
夫と離婚ができない理由として最も多いのが「お金の不安」が結果となりました。
離婚を決意した場合、事前準備としてお金を稼ぐことができる環境を用意しておくことも大切となります。
事前知識:離婚の方法や流れについて
まず離婚の種類を把握しましょう。離婚には、主に「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つがあります。
ここでは、それぞれの離婚について詳しく説明します。
離婚の種類その①:協議離婚
日本では離婚の9割が協議離婚であり、もっともオーソドックスな離婚方法になります。
夫婦間の話し合いにより離婚条件を決定し、双方の合意に基づいて離婚を成立させる方法です。
離婚の種類その②:調停離婚
夫婦間での協議が成立しなかった場合、裁判所を介して話し合い(調停)をします。
家庭裁判所で行われる調停手続のなかで、調停委員の仲介を受けながら、離婚条件について話し合い、調停成立(合意すること)、離婚を成立させる方法です。
離婚の種類その③:裁判離婚
協議でも調停でも折り合いが付かなかった場合、離婚訴訟を起こすことになります。
裁判所の判決により、強制的に離婚を成立させる方法です。
夫婦双方の合意があれば成立する協議離婚・調停離婚とは異なり、裁判離婚が成立するためには、法定離婚事由(民法第770条第1項各号)が存在することが必要となります。
【離婚前にやることリスト】子連れ離婚を決心!準備しておくこと
子連れ離婚を決意した時にまずやるべきことをお話しします。
離婚準備には、パートナーの協力や話し合いが必要になる場合がほとんどです。
子連れ離婚の場合、特に話し合いの内容も多岐にわたるためリスト化しておくことをおすすめします。
- 子どもの親権者を決める
- 子どもの養育費を決める
- 共有財産を調べる
- 子どもとの面会交流方法を決める
- 離婚成立前に別居する場合は婚姻費用を計算する
- 離婚協議書を作成する
簡単にあげただけでも6つの準備すべきことが存在します。
ここからは、離婚前にやることを具体的に解説していきます。
離婚準備をする際は、ぜひ参考にしてください。
離婚前にやることリスト①:
子どもの親権者を決める
日本では離婚した夫婦の子どもは単独親権になるため、子どもがいる場合は必ず親権者を決めなくてはいけません。
子どもを養育するには、ある程度まとまった収入が必要です。
子どもを養育できる収入がない場合は、離婚する前からまとまった収入が得られる仕事に就く必要があります。
なお、親権者の決定は子どものことを最優先に考えるべきですが、夫婦間での話し合いがつかずトラブルになるケースも少なくありません。
万が一、夫婦間の話し合いで決着がつかない場合は、弁護士に交渉を依頼するか家庭裁判所で離婚調停する必要があります。
それでも解決できない場合は、最終的には訴訟へと移行します。
離婚前にやることリスト②:
子どもの養育費を決める
子どもの養育費の金額は、「養育費を支払う側」や「養育費を受け取る側」の収入や子どもの年齢や人数により異なります。
子どもの養育に必要な金額や現実的に支払える金額を、夫婦間でしっかりと話し合いをして決める必要があるでしょう。
なお、養育費の一般的な金額を知りたい場合は「養育費算定表」が公開されています。
家庭裁判所が養育費を決定する際に参考資料として活用しているため、養育費の金額を決める際の参考にするのもひとつの方法です。
離婚前にやることリスト③:
共有財産を調べる
共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築きあげてきた財産のことです。
一般的に、婚姻期間が長ければ長いほど共有財産は多くなります。
離婚する際の財産分与では、夫婦の共有財産を分けなければなりません。
預貯金はもちろん、持ち家の場合は不動産など婚姻期間中に取得した財産をしっかりと確認しておく必要があります。
車や不動産の名義変更する場合は、スムーズに手続きができるように、財産分与の方法を公正証書で取り決めておくことをおすすめします。公正証書にしておくことで、強制執行の手続きができるようになります。
なお、財産分与は夫婦で2分の1ずつ分けるのが基本です。
しかし、夫婦がお互いに把握していない財産もあるかもしれません。離婚前から確認しておくことが大切です。
離婚前にやることリスト④:
子どもとの面会交流方法を決める
子どもと離れて暮らす親が子どもと面会交流する場合は、面会の頻度や時間、具体的なルールなどを決めておく必要があります。
たとえば「毎月1回は必ず会う」「面会交流時は、子どもにパパやママの悪口を言わない」など子どもにとって最善の方法を決めておきましょう。
離婚前にやることリスト⑤:
離婚成立前に別居する場合は婚姻費用を計算する
たとえ別居していても、離婚成立前は婚姻期間中のため、生活を支え合う義務があります。
そのため、離婚成立前に別居する場合は婚姻費用が発生します。
一般的に、夫の収入により婚姻費用がまかなわれている家庭が多く、夫側が別居している妻に対して婚姻費用を支払うケースがほとんどです。
なお、婚姻費用にも養育費と同じように裁判所が定めた算定表があります。
別居を検討する場合は、算定表を参考に婚姻費用を請求しましょう。
離婚前にやることリスト⑥:
離婚協議書を作成する
離婚の話し合いの際に決定した内容は「離婚協議書」として書面に残します。
万が一、養育費の未払いなどのトラブルがあった場合に備えて、離婚協議書を公証役場に持ち込み、公正証書にしておくことをおすすめします。
【離婚後にやることリスト】子連れ離婚は手続きや申請が多い
離婚することが決定したら、パートナーとは世帯が分かれることになるため、役所でのさまざまな手続きが必要になります。
離婚は初めて経験する方がほとんどのため「何から始めたらいいのかわからない!」という方も多いでしょう。
戸籍変更や各種名義変更など、離婚成立後にやることはたくさんあります。
離婚後の生活の助けになる「ひとり親世帯向けの制度」の申請も進めておきましょう。
- 住民票の異動世帯主変更
- 子どもの戸籍と姓の変更金融機関口座の名義変更
- 住所変更児童手当の受給者
- 受取口座の変更
- 児童扶養手当の申請ひとり親家庭等医療費支給制度の申請
- 健康保険の手続き
- 印鑑登録の変更
- 各種名義変更
- 住所変更
ここでは離婚後にやることを、世帯主が元夫で妻が子どもを連れて転居した場合を想定して具体的に解説していきます。
離婚後にやることリスト①:
住民票の異動・世帯主変更
離婚成立後、引っ越しする場合は当然、住民票も異動させる必要があります。
子連れ離婚の場合、一般的に妻側が家を出ることが多いようです。
その場合、妻と子の住民票を異動させることになります。
反対に、元夫が家を出て妻や子どもがそのまま家に残る場合は、住民票の世帯主を母親名義に変更してください。
離婚後にやることリスト②:
子どもの戸籍と姓の変更
離婚が成立したら、元夫の戸籍から妻は除籍されますが、子どもはそのまま元夫の戸籍に残されています。
そのため、子どもの姓は元夫の姓のままです。
子どもの姓を母親の旧姓に変更したい場合は、裁判所で「子の氏の変更許可申し立て」をする必要があります。
申請が認められたら「子の氏の変更」の許可証を受け取り、住民票がある役所へ入籍届と一緒に提出すると、氏の変更と同時に母親の戸籍に入る手続きも完了となります。
まとめて市役所で手続くすることが出来ません。
なお、離婚後も妻が婚姻中の姓を引き続き使用する場合には、婚氏続称届の提出が必要です。
離婚後にやることリスト③:
金融機関口座の名義変更・住所変更
自分と子どもの姓を旧姓に変更した場合、金融機関口座の名義変更の手続きが必要となります。
また、引っ越しをしていれば住所変更も合わせて行いましょう。
離婚後にやることリスト④:
児童手当の受給者・受取口座の変更
一般的な家庭では、児童手当の受給者を夫にしていることが多いようです。
離婚成立後は、児童手当の受給者と受取口座を母親名義に変更しましょう。
意外と忘れがちですので、しっかり確認しましょうね!
申請先 | 各市区町村の役所 |
支給金額 | 3歳未満の場合は月額10,000円 3歳以上の場合は、第1子と第2子は月額5,000円、第3子以降は月額10,000円 |
戸籍謄本など離婚したことがわかる書類を役所に持参して、手続きを完了させてください。
離婚後にやることリスト⑤:
児童扶養手当の申請
ひとり親家庭が受給できる手当のひとつに児童扶養手当があります。
所得に応じて手当額は変わりますが、児童一人目で全部支給の場合は月額43,070円です。
申請先 | 各市区町村の役所 |
支給金額 | 子どもが1人で全部支給:月額41,020円 一部支給の場合:月額41,010円から9,680円まで(所得に応じる) 2人の場合:5,000円加算 3人以上の場合:1人につき3,000円ずつ加算 |
所得制限があるため、詳しくは居住地の自治体ホームページで確認してください。
離婚後にやることリスト⑥:
ひとり親家庭等医療費支給制度の申請
ひとり親家庭が利用できる制度の中には、医療費等の一部助成を受けられる制度があります。
所得制限はありますが、児童扶養手当の所得制限よりも制限が緩いため、所得制限により児童扶養手当が受けられない方でも制度の対象になる可能性が高いです。
ぜひ、居住地の自治体ホームページで確認してみてください。
離婚後にやることリスト⑦:
健康保険の手続き
一般的な世帯では、子どもは夫の扶養に入っていることが多いでしょう。
離婚成立後は、国民健康保険または母親が勤務する会社の健康保険に変更する必要があります。
事前に、元夫が勤務する会社から「健康保険資格喪失証明書」をもらっておきましょう。
なお、元夫が国民健康保険に加入していた場合は、国民健康保険の扶養者変更の手続きをしてください。
離婚後にやることリスト⑧:
印鑑登録の変更
離婚により氏が変更した場合、新しい印鑑を作る必要があります。
居住地の市区町村の役所で、新しい印鑑を持参し印鑑登録の変更手続きをします。
姓が変わらず印鑑を変更しない場合でも、住所が変わっていれば住所変更手続きをしておく必要があります。
離婚後にやることリスト⑨:
各種名義変更・住所変更
上記で解説したもの以外でも、離婚成立後に名義変更や住所変更の手続きが必要なものは数多くあります。
代表的な名義変更や住所変更の手続きが必要なものは、下記のとおりです。
【名義変更・住所変更の必要があるもの】
- 各種任意保険(生命保険、火災保険、自賠責保険など)
- 運転免許証
- パスポート
- クレジットカード
- 自動車
- 住宅など不動産
- 公共料金や通信費などの契約
これら全てを変更するだけでも大変ですよね・・・。
要チェック!ひとり親世帯が受けられる公的支援とは?
厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、母子家庭の母親の86.3%が働いています。
しかし、そのうち38.8%がパートやアルバイトでの非正規労働です。
そのため平均的な年収は、母親の年収のみの場合236万円、世帯年収の場合373万円(平均世帯人数3.20人)程度です。
とても十分とはいえない経済状況のなかで、子育てをしなくてはならないのが現実です。
ここからは、ひとり親世帯にとって助けになる国や自治体から受けられる手当や利用できる制度を紹介します。
ひとり親世帯が受けられる手当や助成について
ひとり親世帯では、さまざまな手当や助成を受けられる可能性があります。
収入制限などはありますが、しっかり確認して受給できるものは活用しましょう。
ひとり親世帯が受けられる手当や助成の代表的な例は下記のとおりです。
- 児童扶養手当
- 児童手当
- 住宅手当
- 児童育成手当
子どもの年齢や支給額に差があったり、制度自体がない自治体もあるため、必ず居住地の自治体へ直接確認してください。
母子家庭が利用できる制度や減免について
ひとり親世帯が増加する現代では、子どもの貧困が問題視されており、ひとり親支援策は強化傾向にあります。
そのため、ひとり親世帯で利用できる制度や減免は拡充されています。
代表的なひとり親世帯が利用できる制度や減税は下記のとおりです。
- ひとり親家庭医療費助成制度
- こども医療助成
- 電車やバスの運賃割引制度
- 保育料の免除や減額
- 上下水道料金の割引
自治体によって受給できる条件や制度の名称が異なるもの、または制度自体がないこともあるので必ず各自治体や取扱機関へ確認してください。
まとめ
今回の記事では、子連れ離婚を決心した際にやるべきことを離婚前と離婚後別にリストアップしました。
子連れ離婚は、夫婦だけの離婚よりもやることが多く、離婚に対するハードルが高く感じるかもしれません。
しかし、大切な子どもと新たな生活を始めるためにどれも必要な手続きです。
紹介したやることリストをもとにひとつひとつ確実に進めていきましょう。
もしもわからないことがあれば、周りにいる離婚経験者や居住地の自治体の係員、夫婦間でトラブルになっている場合は弁護士など、周りのサポートを受けながら手続きを進めていきましょう。