妊婦中に温泉卵は食べても大丈夫?卵を食べる上での気をつけるべきポイントを解説

妊婦中に温泉卵は食べても大丈夫?卵を食べる上での気をつけるべきポイントを解説

妊娠中は、お腹の赤ちゃんのことを考えて食事に気を付けている方も多いでしょう。

妊婦さんには、さまざまなリスクを考えて控えたほうが良いとされる食材があります。中でも、妊婦さんの間でよく話題にあがるのが「卵」です。

たんぱく質が豊富でビタミンDとB12を含む卵は栄養満点で、妊婦さんにもおすすめの食材です。

一方で、アレルギーや食中毒などを心配して妊娠中は卵を食べるのを控える方も少なくありません。
特に、生卵や温泉卵は一切口にしない妊婦さんもいるようです。

温泉卵って火が通っているから大丈夫かしら…?

このように、妊婦さんは、卵を「食べた方がいいのか」「控えた方がいいのか」悩んでしまう方も少なくありません。

そこで今回は、妊娠中に卵を食べるリスクや胎児への影響について解説します。

また、卵の取扱い方法や妊娠中に気を付けたい食材についてもお話します。「卵」についてよく理解し、妊娠中の不安を減らしましょう!

目次

卵アレルギーが心配…妊娠中に卵を食べても大丈夫?

卵アレルギーが心配…妊娠中に卵を食べても大丈夫?

妊娠中に卵を食べることで「お腹の赤ちゃんが卵アレルギーになるのではないか?」と心配する妊婦さんもいるようです。

しかし、妊娠中の食事と食物アレルギーの関係はなにも証明されていません。

妊婦さんが食べたものでお腹の赤ちゃんがアレルギーになることはほぼないと言われています。

自己判断で特定の食べ物を一切口にしないことは、栄養が偏ってしまうおそれがあるため注意が必要です。

たんぱく質が豊富な卵は、妊婦さんにもおすすめの食材と言えます。

ただし、妊婦さん自身や家族に食物アレルギーがある場合など、気になる場合はかかりつけの医師に相談してみるのもおすすめです。

妊娠中に生卵や温泉卵は控えるべき?リスクはある?

妊娠中に生卵や温泉卵は控えるべき?リスクはある?

卵を食べることで考えられるリスクとして「食中毒」があげられます。

一般的に日本で入手できる卵は、しっかりと洗浄や消毒をした上でパック詰めされ販売されています。ただし、絶対に汚れていないとは断言できません。

食中毒予防の観点からは、生卵や温泉卵など完全に加熱していない卵は避けたほうが安全と言えるでしょう。

SNS上でも、お腹の赤ちゃんのために生卵や温泉卵を食べたいけど我慢しているという方の投稿がありました。

火が通っていない食べ物を避ける妊婦さんの声

妊娠中に、下痢や嘔吐をひき起こす可能性がある食中毒にかかってしまったら大変です

一方で、生食を前提として販売されている日本の卵は、健康に問題のない妊婦さんであれば食べても支障がないという意見もあります。

妊娠中に生卵や温泉卵を食べるのは「絶対にダメ」と禁止されているわけではありません。

SNS上の投稿を見ると、生卵や温泉卵を食べている妊婦さんも多くいるようです。

生卵や生魚を気にしない妊婦さんの声

SNS上では、卵を我慢する妊婦さんもいれば気にせず食べているという妊婦さんもいるようですね。

卵について正しい知識があれば、食中毒を防ぐことができます。

ここでは、卵による感染症について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

生卵は要注意⁈【サルモネラ菌】

生卵で注意したい食中毒の原因としてサルモネラ菌があります。

サルモネラ菌に感染すると半日から2日程度で発症し、高熱や下痢、強い腹痛、嘔吐などが約4〜5日間続きます。

妊娠中のからだは免疫力が低下しやすく、とてもデリケートです。免疫力が低いと、細菌などにも感染しやすく、症状が悪化する恐れがあります。胎児への影響を考えると薬も飲めないため、症状が治まるのを待つしかありません。

予防方法

サルモネラ菌は65℃の状態が20分程度継続すると死滅し、70℃以上では生存できません。

100℃以上なら数秒で死滅します。しっかり加熱した固ゆでのゆで卵であれば、サルモネラ菌の心配はありません。

しっかりと加熱調理した卵であれば、食中毒の心配もないため妊娠中も安心して食べられます!

日本の卵は安全!【トキソプラズマ・リステリア感染症】

サルモネラ菌と同様に注意が必要なものとして、寄生虫によって引き起こされる感染症「トキソプラズマ」と、動物の腸管や河川、土壌など自然界に生息する細菌「リステリア」による感染症があります。

日本で販売されている卵は生食が前提となっており、衛生管理がかなり徹底されています。

トキソプラズマやリステリアの感染ルートとなることは考えにくいです。

食中毒を防ぐために大切!正しい卵の取り扱い方

食中毒を防ぐために大切!正しい卵の取り扱い方

栄養が豊富な卵は、調理も簡単で毎日の食卓に欠かせない食材の1つです。

目玉焼きやオムライス、厚焼き玉子など身近な食材である卵を使ったメニューはたくさんあります。

しかし、卵は取扱い方に注意が必要です。特に、免疫力が低下しやすい妊娠中は卵の取扱いにも気を配る必要があります。

ここでは、食中毒を未然に防ぐために知っておきたい「卵の正しい取り扱い方」をご紹介します。

卵の取扱い方その①:冷蔵庫で保管する

スーパーなどでは常温で売られていることもある卵ですが、購入して帰宅したら必ず冷蔵庫で保管してください。

冷蔵庫に保管した卵は、できるだけ賞味期限内の新鮮なうちに使い切るようにしましょう。

卵の取扱い方その②:卵を触った手は洗う

一般的に日本で販売されている卵はきちんと洗浄されていますが、卵の殻にはサルモネラ菌が付着している可能性があります。

卵を素手で触ったあとは手を洗うように心がけましょう。購入後、冷蔵庫に保管する際や調理のためにパックから卵を取り出したあとなどもこまめに手を洗ってください。

万が一、サルモネラ菌が付着した手で他のものを触ってしまうと、口に入る可能性があり食中毒の原因になります。

「コメント:食中毒を予防するためにも、卵だけでなく肉や魚介類などを触ったあとは必ず手を洗うことを習慣にしましょう!」

卵の取扱い方その③:殻にヒビが入っていない新鮮な卵を使う

卵を購入したら、卵の殻にひびが入っていないことを確認しましょう。

卵の殻にひびが入っていた場合、殻に付着していた菌が卵の中に混入している可能性があります。しっかりと加熱して食べるか、心配な方は破棄した方が安心です。

また、卵は料理に使う分だけ使う直前に割り、できる限り早めに調理しましょう。割ったままの状態で放置すると、細菌が増殖する可能性があり危険です。

卵の取扱い方その④:十分に加熱する場合の目安

ゆで卵は、沸騰したお湯で5分以上ゆでることが望ましいです。冷たい水から卵をゆでる場合は、20分以上ゆでるようにしましょう。

十分加熱して調理する場合の目安は、卵黄も白身もかたくなるまで加熱することです。

妊娠中でも温泉卵が食べたい!温泉卵を調理する際に気をつけたいポイント

妊娠中でも温泉卵が食べたい!温泉卵を調理する際に気をつけたいポイント

黄身は程よく固まっていて白身がトロっとしている温泉卵は、出汁醤油をかけて薬味と一緒にいただくのがおいしいですよね。また、牛丼やパスタ、ビビンバなど、温泉卵をのせて食べたいメニューはたくさんあります。

温泉卵好きの方も多いのではないでしょうか?

お腹の中の赤ちゃんのことを考えて、大好きな温泉卵を我慢している妊婦さんもいるでしょう。
食べられないと思うと、無性に食べたくなってしまいますよね。

ここでは「どうしても温泉卵が食べたい!」と言う方に向けて、妊娠中でも比較的安心して食べられる温泉卵の作り方をご紹介します。

妊婦さんも安心して食べられる温泉卵の作り方

卵白と卵黄では固化する温度が異なり、卵白は70℃以上、卵黄は68℃くらいから固まり始めます。
温泉卵は、卵白と卵黄の固まる温度の差を利用して作ります。

一般的な温泉卵の作り方は、65〜68℃のお湯に卵を入れ、温度を維持したまま20〜30分程度待てば完成です。
先述した通り、食中毒の原因であるサルモネラ菌は65℃の状態が20分程度継続すると死滅します。

妊婦さんでも安心な温泉卵の作り方

用意するもの
  1. 生卵
  2. 調理用の温度計

作り方

手順①できるだけ新鮮な卵を用意し、卵の殻にひびが入っていないかしっかりと確認する。
手順②鍋に卵が浸るくらいの水をはり、調理用の温度計を使用して68〜70℃になるまで加熱します。
手順③68〜70℃のお湯になったら卵が割れないようにそっと入れ、温度を維持しながら20分程度経過したら完成です。

卵白はトロっとしていてあまり固まっていませんが、卵黄はほぼ固まっている温泉卵の完成です。

妊婦さんが食べても食中毒になる危険性は低いと言えるでしょう。

正確な温度を測るためにも調理用の温度計を使用しましょう。

デジタル式の調理用温度計はネットショップなどでも2,000円程度で入手できます。アナログの調理用温度計であれば、100円ショップなどでも取扱いがあるようです。

心配しながら食べるよりも、安全な物を食べよう!

しっかりと温度管理して調理した温泉卵であれば、食中毒の可能性は低いです。

しかし、食中毒の可能性はゼロではありません。

心配しながら食べるより、絶対に大丈夫なものを食べたほうが安心ですよね。おかしいと感じたり、気になる症状があったら、すぐに病院を受診しましょう。対処が早ければ症状も早く抑えられ回復も早いです。

食中毒の症状である嘔吐などは、つわりとよく似ています。いつものつわりとはなにか違うと感じたら、なるべく早く受診するようにしましょう。

卵以外でも妊娠中に気を付けたい食材とは?

卵以外でも妊娠中に気を付けたい食材とは?

妊娠中の食事では卵以外でも注意したいことがたくさんあります。

妊娠前は食べたり飲んだりしても大丈夫なものでも、妊婦さんの場合は胎盤を通してお腹の赤ちゃんに届きます。

赤ちゃんの成長や発達に影響を及ぼす可能性があるので妊娠中の食事は注意が必要です。

妊娠中は避けた方がよいものと、一定量を超えて食べ過ぎない方がよいものがあります。以下では、妊娠中に注意したい食べ物について解説します。

未加熱食材は要注意!リステリア食中毒の恐れがある食材

  • ナチュラルチーズ
  • スモークサーモン
  • 生ハム

これらの食べ物は、加熱処理されていない食品となります。

未加熱食品にはリステリア菌を含んでいる可能性があるため、妊娠中はそのまま食べないようにしましょう。

リステリア菌は、低温でも濃い塩分でも生き残る強い菌で、妊婦さんが感染すると胎児へ感染するおそれがあります。

加熱処理されていないナチュラルチーズは、ピザにするなど加熱する調理法で使う場合は大丈夫です。
プロセスチーズは加熱処理されているのでそのままでも食べられます。

水銀を含む魚の過剰摂取は注意が必要!

たんぱく質やDHA、カルシウムなどを豊富に含む魚は、本来妊婦さんにとっても良質な栄養源です。

しかし、水銀を含む魚を妊婦さんが過剰に摂取してしまうと、胎盤を通じて胎児に影響を与える可能性が指摘されています。妊婦さんは、水銀量を考えながら魚を食べることが大切です。

厚生労働省でも以下の魚について、妊娠中の摂取量の基準を定めています。以下の魚は、量と回数に注意して摂取するようにしましょう。

1回80gを週2回まで食べられるお魚1回80gを週1回まで食べられるお魚
キダイ
マカジキ
ユメカサゴ
ミナミマグロ(インドマグロ)
ヨシキリザメ
イシイルカ
クロムツ
キンメダイ
ツチクジラ
メカジキ
クロマグロ(本マグロ)
メバチ(メバチマグロ)
エッチュウバイガイ
マッコウクジラ
厚生労働省のHPより抜粋

※80gは、魚の切り身1切れぐらいの大きさです。

※コビレゴンドウ、バンドウイルカは水銀量が多いため、妊娠中は避けた方がよいでしょう。

POINT

ツナ缶やサケ、アジ、サバなど、上記以外の魚は水銀が含まれていません。

安心して食べられますので、妊娠中の食事に積極的にとりいれましょう!

控えた方がおすすめ!子宮収縮を促す恐れがある食材

スパイス類の中には、子宮収縮を促して流産や早産のリスクを高めてしまうものがあります。

シナモンやタイム、セージ、バジルといった食材は、子宮収縮作用が指摘されています。

できれば、妊婦さんは控えたほうが良いでしょう。

なお、カレールーなどに配合されている程度であれば問題ありません。

ヨウ素を含む食材

ひじきやわかめ、海苔などの海藻類は和食でもよく使われるため、諸外国に比べて日本人はヨウ素を多く摂取しています。

海藻類に多く含まれるヨウ素を妊娠中に過剰摂取すると、胎児に甲状腺の病気をきたす可能性があります

妊婦さんはヨウ素の摂取推奨量を守るようにしてください。

ヨウ素の摂取推奨量は240μg/日、耐容上限量は2,000μg/日と言われています。

ヨウ素を多く含む代表的な食材のヨウ素量の目安は下記の通りです。

食材ヨウ素量
昆布(乾燥)5cm角(5g)10,000μg
ひじき(乾燥)(5g)2250μg
ところてん 1人前(100g)240μg
わかめ(水戻し) 1人前(10g)190μg

上記の含有量を参考に、1日2,000μgを超えない程度に摂取するのが安心でしょう。

ビタミンAを多く含む動物性の食材

レバーやうなぎ、鮎といった食材には、ビタミンAが多く含まれています。

妊娠中は貧血になりやすいこともあり、レバーなどを貧血対策に食べたいと考える妊婦さんもいるでしょう。

適量を食べる分には問題ありませんが、極端な食べ過ぎには注意が必要です。

また、手軽に摂取できるサプリメントにも気を付けてください。気が付かないうちに過剰にビタミンAを摂取してしまうおそれがあります。

まとめ

妊娠中に生卵や温泉卵を食べても、胎児へのアレルギーの心配はありません。また、食中毒の可能性も低いと言えるでしょう。

ただし、絶対に大丈夫と言うことはないので、気を付けるにこしたことはありません。

の取扱い方や調理する際の温度、衛生管理には十分注意しましょう。少しでも不安があるのなら、生卵や温泉卵を食べるのをやめたほうが無難です。

お腹の赤ちゃんのために、いろいろと我慢したり気をつけたりと大変に感じることもあるかもしれませんが、妊娠は10か月と限られた、とても大切な期間です。

おなかの赤ちゃんの健康を第一に考えて食事に気を付けながら、妊娠生活を送ってください。

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この記事を書いた人

PaMarryの編集部です。
編集部のメンバーは全員既婚者であり、かつ子供がいる家庭となります。
夫婦関係・育児・子育てにまつわる「あるある」「なるほど!」な記事を書いています。
ぜひ、夫婦問題の解決、子育て・育児のヒントにご活用ください。

『編集部管理者』
馬鳥 亮佑
ファザーリンクジャパン所属
https://fathering.jp/papafiles/common/20211206_batori.html
クーミル株式会社 代表取締役
https://coomil.co.jp/

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